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人と海をつなぐ“Castle Bay”へ進化する西の浜エリア

唐津湾の西側に位置することから、西の浜と呼ばれてきた穏やかな浜辺には、静かでゆっくりとした時間が流れています。
唐津城の天守がその威容を現してから60年以上が経ち、「お城と海の街」のイメージはすっかり唐津に定着。訪れる人々を出迎えてきました。しかし、城のかたわらに広がる西の浜は、その姿をがらりと変えています。みなが親しみ、「遊ぶ場所」から「景色を楽しむ場所」へと。
近隣から多くの海水浴客が訪れていた頃の賑わいを知らないという世代も増えてきた西の浜ですが、いま、唐津に住む人も他所から来た人も親しめる“Castle bay”として生まれ変わろうとしています。
そして、そんな“Castle bay”で、海と人をつなぐ活動をされている藤川雄大さんと宮野幹弘さんのおふたりに、“Castle bay”の魅力とこれからについて語っていただきました。

Castle Bayを“唐津の文化”に

朝の6時。冷たい風が肌を指す冬の日も、強い日差しが肌を焼く夏の日も、ほとんど毎日藤川雄大さんはSUP(サップ、Stand Up Paddle board)で海に漕ぎだし、西の浜から1㎞ほど先の唐津湾に浮かぶ無人島・鳥島を目指します。
6年前、藤川さんがたった一人で始めたその活動は、「朝活SUP」と呼ばれ、毎日10人から15人ほどが参加する性別や世代を問わないコミュニティとして、今では西の浜の“日常の風景”となっています。

――藤川さんは、もともと世界選手権にも出場するラフティングのプロ選手だったとお聞きしています。唐津には、どういった縁で来られたのでしょうか。

藤川さん:出身は東京なんですが、心理学を学んでいた大学時代に激流の川をゴムボートで下るラフティングと出合い、トライアウト(適性試験)を受けてプロチームに所属しました。チームは世界選手権で2位になるなど、国内外の大会で結果も出せていたのですが、29歳のときに、それまでやってこなかったレース以外のことをやってみたくなり、いったん競技生活を終えることにしました。
とはいえ、ラフティングで磨いたパドリング(水をかく動作)の技術を活かしたことをやりたかったため、綺麗な水辺のある場所をいろいろと見て回りました。中部地方や四国、宮崎や福岡の糸島にも行きましたよ。唐津には、元チームメイトがいて誘ってもらったんです。
SUPのボードを積んで車で回っていたのですが、唐津に着いたのは、まだ日が昇る前の朝方でした。こんなに住宅地が近いのに、浜には誰もいなくて。そうして独りで海に出て、日の出を見たんです。
ゆっくりと昇る朝日に照らされた静かな海の様子とお城が見えるロケーションが素晴らしいうえに、生活と海が密接しているところが、「人の営みがある所で、そこに住んでいる人と、何かをやりたい」という自分のやりたいことができそうだと思い、唐津に移住することにしました。
2020年の1月1日のことです。

――海から見る唐津城と浜辺の風景は格別ですが、さらに朝焼けが重なると感動します。元旦に唐津に到着されて、しかも海から美しい初日の出を独り占めして見られた、というのは、なんだか運命的ですね。

藤川さん:そうですよね。30歳で唐津に移住して、そこから毎日、1人で海に出ました。そうすると、興味を持って話しかけてくる人もいて、一緒にSUPで海に出る人が2人、3人、4人と、徐々に増えていきました。ちょうど新型コロナの初期で、海の上は距離も取り放題でしたしね(笑)
佐賀県や唐津市の移住支援や起業支援の補助金制度などを活用してSUP用のボードをそろえ、毎朝一緒に海に出ました。それが口コミでちょっとずつ広がっていって、朝活で言うと、年間で参加してくれる延べ人数が3800人くらいになってきています。その85%くらいが地元唐津の人ですね。
僕は、観光のアクティビティよりも、まず日常の中でそこに住む人たちと一緒に楽しみたいんです。

――朝活SUPには、小さいお子さんから70代の方、ペットまで、幅広い方が参加されていますね。飼い主さんと一緒に大きな犬がボードに乗っている姿はなかなか印象的でした(笑)

藤川さん:親御さんと一緒なら10歳以下の子も来ますし、毎朝SUPをやってから仕事に行く方もおられたり、本当にいろいろな方が来られますよ。
現在SUPの拠点として使わせていただいている舞鶴荘も、参加者の方に舞鶴荘を所有する九州電力の方がおられたことからお声がけいただいたんです。もともとは会社の保養所として使われていたそうなんですが、利用者が減ったことなどから2014年に閉館し、そのままになっていて。西の浜のすぐそばで、広大な敷地を持つ歴史ある建物の活用方法について相談していただき、まずはSUPのボードを置かせてもらうことから始まり、庭でマルシェを開催したいという人が出てきたりと、利用する人が増えてきています。いまでは建物の一部を改修して簡易宿所としての登録もしていますし、建物も少しずつですが、息を吹き返しています。

――ご縁ですね。

藤川さん:唐津だからこそできることだと思います。
日本は島国ですから、海に囲まれていますよね。全国47都道府県のうち、海なし県は山梨や長野、埼玉など8つ。全体の6分の1くらいなのですが、全国の市区町村などの自治体1700ほどのうち、海ありが600くらいで、海なしが1100くらいと逆転します。さらに、車で10分から15分圏内に海がある、となるとさらに減ります。唐津は、ほとんどがその数少ない場所に含まれているんです。
海山川に囲まれて、農業に漁業、畜産もさかんで、唐津焼や唐津くんちなどの文化的な側面もあり、とても選択肢の多い町だと思います。質の高い生活が送れる場所だということを、住んでいる人にこそ知ってほしい。
『論語』に「近き者悦(よろこ)び、遠き者来たる」という言葉があります。近所の人が喜んでくれたら、遠くの人も来るようになっていく。そういうふうになっていきたいですね。

唐津のマリンスポーツのハブ拠点へ

1996年のアトランタと2024年のパリ、セーリング競技で2人のオリンピック銀メダリストを育み、2024年の国民スポーツ大会(旧国民体育大会)でも総合優勝を飾った佐賀県は、国内有数のセーリング競技の強豪県です。
西の浜の西端に位置する佐賀県ヨットハーバー(愛称Castle Bay)は、1988年の開設から現在まで、セーリング競技を中心に、学生セーリング競技の強化や、地域のセーリング教室など、県民の海洋性スポーツ・レクリエーション施設として歴史を刻んできました。
そんなハーバーの常駐アドバイザーであり、SAGAスポーツコーチとして2022年に着任されたのが、宮野幹弘さんです。宮野さんは、藤川さんなど地域のプレイヤーとともに、ハーバーを起点とした「広く開かれた安全で安心なハーバー運営による地域の活性化と観光振興」の道を探っています。

――東京オリンピックでセーリング競技の代表コーチを務められた後、“SAGAスポーツコーチ”として佐賀に来られたと伺いました。もともとはウインドサーフィンの選手でいらっしゃったんですよね?

宮野さん:大学に入ってすぐの18歳のときにウインドサーフィンと出合い、オリンピックを目指していました。結局オリンピックに出ることはなく26歳で引退。サーフボードなどを扱う会社でサラリーマンをしつつ、指導者が足りないからと頼まれてコーチになったんです。2008年の北京オリンピックから会社を辞めて代表コーチになり、北京、ロンドン、リオ、東京とかかわりました。

――唐津に来られたので、ヨットの方かと思っていました。

宮野さん:ウインドサーフィンもヨットも、風を帆で受けて動力として進む競技は、すべてセーリング競技ではあって、大きいくくりは一緒なんですよ。
以前から唐津で行われる大会の視察などには来ていて、唐津出身でセーリング競技初のオリンピック銀メダルをとられた重由美子さん(故人)には、お客さん気分とだいぶ怒られました。腹が立ったので翌年からは大会開催の1カ月くらい前から泊まり込みで大会運営を手伝ったりして。5年もした頃には、重さんから「唐津に来て指導を手伝ってほしい」と言ってもらえるようになりました。その時はお断りしたんですが、結局ここにきているので、亡き重さんの執念かもしれません(笑)

――「SAGA2024」と銘打った国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の開催をきっかけに、佐賀県が進めているSAGAスポーツピラミッド構想(以下、SSP)の一環で就任されたんですよね?

宮野さん:2021年の東京オリンピックが終わって無職になりまして(笑)。佐賀県スポーツ協会の強化部長をされている方がセーリング協会の方でもあり、お声がけいただきました。「世界に挑戦するアスリートの育成を通じてスポーツ文化(観る、支える、育てる、稼ぐ)の裾野を拡大し、さらなるアスリートの育成につながる好循環を確立することで、スポーツのチカラを活かした人づくり、地域づくりを進める」というのが SSP構想なのですが、こちらのヨットハーバーは、もともと外部の優れた指導者を呼び込み、後進を育てるというシステムの先駆け的な存在でもあったんです。
そして現在の佐賀県のスポーツにかける姿勢を見て、ここだったら、自分がやりたかったことがいろいろとできるのではないか、と唐津へ来ることにしました。
家も買いましたし、腰を据えてここを良くしていき、重さんがおられた頃のように優れた選手を育てていきたいと思っています。

――セーリング競技をされる方から見た、西の浜の魅力はどういったところでしょうか。

宮野さん:とにかく風のコンディションがいいです。このあたりは朝鮮半島と九州に挟まれて、海流がギュッと狭まっているので、いい風が吹くんですよ。加えて、防波堤の内側には大きな波が入ってこないので、強風のときでも練習ができます。強い風がほしいときは東の浜のほうまで出ればいいですし。湾内は穏やかで、初めての方でも安心して乗ることができますし、国際大会が開催できる環境も整っています。
いまうちで預かっている子は、アメリカのインターナショナルスクールに通っていて、唐津に住みながらリモートで授業を受けて練習に励んでますよ。
台風の日以外は乗れない日がないくらいで、日本国内を探しても、こんな風が吹くところはなかなかありません。とにかく回数が乗れてたくさん練習ができますから、高校から始めた子でも、強くなれる環境がそろっています。

――セーリングの選手を育てる以外のことにも、いろいろと携わっておられるようですね。

宮野さん:そうですね。唐津に来て3年間で、マリンスポーツをやる場所としても伸びしろがあると感じました。このハーバー自体もです。佐賀県知事と初めてお会いしたときに、県知事がグランブルーとかジャック・マイヨールの話をされたんです。知事の想いを伺ううちに、「せっかく県立のヨットハーバーというものがあるので、まずはそこを起点にいろいろやってみるのはどうですか」と提案をさせていただきました。すでにシャワーやいろいろな設備が整っているわけですから、ここを起点にして発展させていくことがいいのではないか、と。
まだうまくは使えていないんですが、ラウンジができたり、少しずつ変わっていっています。

――前面に海が広がりとても見晴らしがいいですし、こちらでコワーキングとかしたいくらいですね。

宮野さん:ぜひ使ってください。ただ、このハーバーはまだまだ地域に開かれていなくて、実際はまだ知られていないんですよね。
それで、誰か協力者がいないか、とあちこち聞いてみたら、ほぼ100%藤川君の名前が挙がるんですよ。宮野はよそ者だから、とりあえず藤川君と付き合わなきゃだめだと(笑)。そこから、藤川君ともいろいろ話して、県の事業としてKMAP(唐津マリンアクティビティパーク)プロジェクトをやろうということになっていったんです。

――唐津の人がこの西の浜で遊ぶ文化がなくなってきているのでしょうか。

宮野さん:唐津市は年間で300人くらいの小学生がヨットを体験しに来ていますから、ヨットに乗ったことがある子どもの数は、他と比べて圧倒的に多いと思います。そこにSUPを入れたりしていっているので、マリンスポーツを体験したことのある子が増えていっています。
今年は唐津市からマリンスポーツの振興に関する後援をいただいていますので、さらにマリンスポーツの普及は進んでいくと思います。

――地域に根差した場所になっていっているんですね。いまこちらで体験できることはどういったものになりますでしょうか。

宮野さん:ヨット、ウインドサーフィン、SUP、カヤックなどの体験が可能です。ヨットも、ハンザといって、パラリンピックでも使われていた転覆しにくいものもありますし、SUPも8人乗りの大きなものもあります。いまは、去年のリピーターの方がすごく多いですね。
現在は、ハーバーや西の浜でできるマリンアクティビティの窓口をこちらに集約していっているかたちです。
これからビーチが綺麗になり、道ができたりしてくると、これまで道路側を散歩していた人たちが、ビーチ側を歩くようになってきて、そこから見えるSUPやヨットに興味を持ってやってみようかな、というふうになっていくかもしれないですよね。
子どもたちをしっかり育てていきつつ、何か資格が取れるような海洋の専門学校のようなものがあってもいい。若い人が経済的に食べていける仕組みができていき、本当に海が好きな人がこの場所に関与してもらえるようにもなってほしいです。このハーバーがモデルシップとなるよう、しっかりやっていくことが大切だと思っています。

藤川さんが始めた“文化にする”活動は、唐津の西の浜をCastle bay という人が集まる場所として変え始め、5年の間に実を結び始めています。
その変化は、県の施設でもあるヨットハーバーにも同時多発的に起こり、宮野さんを迎えたことで、さらに大きな変革の時を迎えています。

Castle Bayの活用事例・ビーチヨガ

Castle Bayでは、自然の中で心身を整えるビーチヨガが開催されています。唐津市内でヨガスタジオ「ACTOMO」を運営する上妻智子さんは、ヨガの魅力を伝える活動を続けており、ビーチヨガの開催を通じて地域の活性化にも貢献しています。
2023年には、世界150カ国以上で同時開催される「国際スポーツ&ウェルネスウィークエンド」の一環として「唐津ヨガフェス」が初めて開催されました。このイベントでは、唐津市役所の屋上テラスでヨガやコスメブースの出展が行われ、多くの参加者が集まりました。実行委員長を務める上妻さんは、その功績が認められ、フランス本部より「ウェルネスチャンピオン」として表彰されています。
そして2024年、「唐津ヨガフェス」は西の浜(Castle Bay)を舞台に開催されました。広々とした砂浜と唐津湾の美しい景観の中で行うヨガは、開放的な雰囲気で、多くの参加者にリラックスした時間を提供しました。
西の浜がCastle Bayとして生まれ変わる中で、ビーチヨガは新たな魅力を創出する取り組みのひとつとなっています。

海の守り人活動ー西の浜編ー

「唐津のきれいな海を楽しみながら守りたい」
そんな高校生たちの想いで始まった、高校生による高校生のための活動がKUP(Karatsu beach clean UP )です。
唐津商業と唐津工業の高校生たちが立ち上げた「ReAct(リアクト)」というボランティア団体が主催し、月に1回程度、海の清掃活動をしています。何と言ってもその特徴は、SUP体験を楽しみながら、海のゴミ拾いができること。
西の浜で朝活SUPを主宰する藤川雄大さんをインストラクターとして迎え、普段の生活ではなかなか経験できない海のスポーツを楽しみつつ、唐津湾内にある人の出入りの少ない鳥島での海岸清掃などを通して、唐津が抱える海ゴミの問題や地域社会への貢献といったことへの意識の向上を目指しています。
スポーツ体験と社会貢献が同時にできるとあって、参加者は唐津市内の高校生だけでなく、伊万里や福岡からも。数時間一緒に活動することで、確かな交流も生まれています。
「海洋ゴミに関しては、どんどん流れてきますから、少し拾ったくらいで解決はしないのですが、目の前のことを知ったりとか、このゴミがどこから来ているのか、どんなゴミが多いのか、そういったことを知ることができますし、そもそも自分たちがいるところをきれいすることができます。そういったことをきっかけに、行動する高校生たちの姿を見るのは、おもしろいです」と、藤川さん。
高校生たちの柔軟な思考から生まれた活動は、さまざまなメディアなどでも取り上げられ、少しずつ広がりを見せています。

藤川雄大さん

1989年、東京都出身。立正大学在学時にラフティングと出合い、その後神奈川県のプロチームに7年間所属。30歳で唐津へ移住し、朝活SUPのコミュニティ形成を皮切りに、舞鶴荘の活用や佐賀県のKMAPプロジェクトにも参画。海と人をつなぎ“文化をつくる”活動を続けている。2025年、ラフティング競技に復帰し、世界選手権で準優勝。

宮野幹弘さん

1969年千葉県出身。大学でウインドサーフィンを始め、引退後指導者の道へ。東京オリンピックなどでセーリング競技の代表コーチを務める。2024年に佐賀で開催された国民スポーツ大会をきっかけに、SAGAスポーツコーチとして唐津へ移住。唐津ヨットハーバーをCastle Bayのハブ拠点とすべく奮闘中。

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